自己血輸血には以下の3つの方法があり、そのうち貯血法には3つの保存方法があります。
希釈法と回収法は手術当日に手術室内で行われる方法です。
当部では貯血法で全血冷蔵保存する方法を実施しています。
全身状態が良好な方で、手術日までに採血による貧血が回復すると医師が判断した場合に行うことができます。基本的には、採血は一週間に一度の間隔で行い、手術の一週間前までに貯血が終わるように計画します。採血後に貧血になることがありますので、通常は鉄剤を服用して頂きますが、合計で800mL以上貯血する場合に赤血球の産生を促すエリスロポエチンの皮下投与(貯血前・貯血後)を行うこともあります。
同種血輸血による副作用・合併症(免疫反応、輸血後感染症など)を避けることができます。患者様が稀な血液型である場合にも安全に輸血が行えます。
採血中の気分不快、冷や汗、吐き気等(血管迷走神経反射)が稀にみられます。非常に稀ですが強い反射(血圧低下、意識喪失、失禁、心停止など)や狭心症や不整脈の発作が起きることもあります。手術時に予想以上に出血した場合には、やむなく同種血を併用する必要性が生じることもあります。稀にバッグの損傷、血液の汚染・凝固などにより使用できなくなることがあります。
上図は手術前に3回貯血をする例です。
自己血貯血量と回数は患者様の手術に合わせて担当医師が決めます。1回の貯血量は通常200〜400mlで、患者様の体重や血液検査データ(血中ヘモグロビン濃度)により決定します。また鉄剤の内服や造血剤(エリスロポエチン)の注射を必要とする場合もあります。
体調の維持につとめましょう!
良質のたんぱく質や鉄分を多く含む食品をバランスよくとって下さい。
ビタミンCを摂ることにより鉄の吸収が良くなります。
医師の指示にしたがい、採血前から手術時まで鉄剤を服用して下さい。
下痢、便秘、食欲不振などの症状がでた場合は、主治医にご相談下さい。